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IPOへの苦難の道16 ~未払残業代の精算~

人事労務/IPO

皆さんの会社は残業代はきちんと支払っているでしょうか?
僕が今まで関係した会社で残業代をきちんと払っていた会社はほとんどなかったです。
今回はIPOを目指す際に論点となる未払残業代について解説します。

さて、まずはIPOを目指すならどのような労務管理を求められるかですが、
大体下記の事項を証券から依頼されます。

・勤怠時間は1分単位で管理
・過去2年間(2020年4月以降発生の未払残業代は3年間)にわたって従業員(退職者含む)の未払残業代の精算
・名ばかり管理職の整理(管理監督者と管理職の整合)
・労務デューディリジェンスの実施

昨今、”働き方改革”という社会の流れになっていることに伴い、上場審査でもかなり厳しく労務管理面は審査されるようになっています。

それでは上記のうち未払残業代に関する論点ですが、

絶対に忘れてはならないのが

同意書の取得です!

これはめちゃくちゃ大事です。
「今回の精算に伴って会社に対し残業代に関する債権は存在しない」という内容の文面で同意書を取得してください。

当然これには残業代の未払に対する遅延損害金(利息)も含めての同意です。
従って、未払残業代の精算に遅延損害金(利息)を含めていない場合は、必ず従業員に説明をする必要があります。

ちなみに経験上、遅延損害金(利息)を含めて精算してるケースは出くわしたことはないです。

何故かは明確に考えたことはないですが、

僕が従業員の立場なら、

「全社員分の計算に時間を要して未払残業代の時効が切れたらどーしてくれるんだ。早よ精算せぇ。」

と思うと思います。

ということで、IPO上は未払残業代の精算は絶対に避けて通れない道ですので、誠実に精算をすることをオススメします。

 

執筆 宇佐見