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IPOへの苦難の道20 ~監査等委員会設置会社への移行~

組織/経営管理

株式会社の組織機関の変更っていざやろうとするとどうしたらいいのかわからない事項が多いかと思います。
今回は監査等委員会設置会社の移行について解説します。

ちょうど最近監査等委員会設置会社への移行のお手伝いしたので、自分のアウトプットのためにも手続きと注意点について語りたいと思います。

ではまず何したらいいかですが、具体的には下記です。

①株主総会の開催
②取締役会の開催
③監査等委員会の開催

それではまずは①株主総会の開催についてをば。

監査等委員会への移行については会社法で株主総会の決議が規定されています。
(会社法の規定についてはめんどくさいので、ここではわざわざ条文を探してきて載せるのは省きます)

したがって、株主総会で下記の決議が必要になります。

・定款の変更
監査等委員会設置会社バージョンに定款の変更が必要です。
ここは専門家の司法書士や信託銀行に任せましょう。

・会計監査人の選任
監査法人に依頼しましょう。監査等委員会設置会社では会計監査人の選任が会社法で要求されています。

・監査等委員ではない取締役の選任及び監査等委員である取締役の選任
上記の定款変更により、その時点の役員は全員退任になることが会社法で規定されています。
なので、再び再任決議をする必要があります。

・監査等委員でない取締役の報酬額の決定及び監査等委員である取締役の報酬額の決定
一般的には報酬額の枠だけ定めて、具体的な金額の決定は取締役会、監査等委員会に一任します。

・退任監査役に対する退職慰労金贈呈
これまで監査役だった役員は監査役から取締役になるため、監査役という職務が退任となります。
一般的には支給の基準だけ決議して、その時期、金額は取締役会へ一任します。

以上が株主総会での必要な手続きになります。

では、続いて②取締役会をば。
株主総会を開いたその日に取締役会で以下の決議が必要になります。

・代表取締役の選定
特に言うことはありません。

・役付取締役の決定
社長、専務、常務等の役職を設ける場合は決議必要。

・代表取締役社長の代行順位の決定
代表取締役社長に事故があったりした場合のもしものために決議必要。

・取締役会議長の代行順位の決定
同上。

・個々の取締役の報酬の決定
一般的にはさらに代表取締役社長に一任する決議をするケースが多いかと。

・会社法に基づく内部統制システムの基本方針の制定
会社法で監査等委員会の場合は制定が求められます。
割と上場会社の有価証券報告書に載ってたりするので参考にしてみてください。

・規程の変更
監査等委員会になるため、すでに制定している規程内で「監査役」の文言を用いている場合は、「監査等委員」に変更が必要です。

そして最後に③監査等委員会をば。

・監査等委員会の委員長の選定
特に言うことはないです。

・監査等委員会委員長の代行順位の決定
委員長に事故があったりした場合のもしものために決めときましょう。

・監査等委員会規程及び監査等委員監査規程の制定
どういう決まりごとで監査をするのか規定しておく必要があります。

・常勤監査等委員の選定及び常勤監査等委員の特定監査等委員兼任
会社に常駐する常勤監査等委員と、監査報告の通知等を行う特定監査等委員を定める必要があります。
大体常勤監査等委員が兼務してます。

・選定監査等委員の選任
監査等委員会社設置会社の監査権限は監査等委員会がもっているため、日常的な監査を行う権限を持つものとして選定監査等委員を定める必要があります。
ちなみに、一応調べましたが人数の制限はなさそうです。

・監査計画の決定
選任された日から1年間の監査の計画を決議する必要があります。

・個々の監査等委員の報酬額の決定
特に言うことはないです。

・監査等委員の業務分担の決定
監査計画と合わせてどの監査を誰が行うのかについてはきちんと協議して決めておく必要があります。

以上、大体こんな感じで監査等委員会への移行ができちゃいます。
結構めんどくさいです。
決議が済んだら登記も必要になるため、早めに議事録を作成し、司法書士に渡しましょう。

 

執筆 宇佐見