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IPOへの苦難の道17 ~関連当事者取引の整理~

全般/IPO

IPOの準備段階において関連当事者取引は証券会社から解消を求められます。
今回はその関連当事者取引の整理について解説します。

そもそも関連当事者取引とはなんたるかですが、
これは「関連当事者取引の開示に関する会計基準」で定義されています。

簡単にいうと会社の役員や主要な株主とその親族が会社と行う取引のことをいいます。

この人たちは、会社の意思決定に少なからず影響力を持つ人たちという感じです。

ではなぜこの関連当事者取引の解消を求められるかですが、

取引の公平性を明確に担保できない

からです。

例えば役員は取締役会で会社として意思決定ができます。
極端にいうと役員が自分の親族に明らかに安い金額で会社の製品を売るように指示ができるわけです。

どうです?外部の人間からしたらめちゃめちゃ不公平だと思いませんか?
例え適正な価格で取引をしていると説明されても、僕のようにひねくれた人間は「ほんとうか?」と疑いを持つわけです。

関連当事者取引は基本的に会社と関連当事者との間でお金のやり取りが生じるものが該当します。

僕の場合は会社の総勘定元帳から関連当事者取引を洗い出します。
洗い出すときはなるべく細かいものまで洗い出すのをオススメします。

これがまた悩ましい部分ですが、人によって”関連当事者取引だ”と判断する部分が変わるからです。

過去にも役員へ支払ったガソリン代や駐車場代、個人的な学会への参加費用なども関連当事者取引だと指摘を受けたことがあります。

個人的には厳密にいうと交際費も関連当事者取引だとは思っていますが、
会社の業務のために利用するような交際費やガソリン代等の費用まで関連当事者取引だと判断する必要はないんじゃないの?と思っています。

なのでどんな指摘を受けても対応できるよう、関連当事者の判定とその関連当事者との取引についてはなるべく細かく洗い出し、整理しておきましょう。

 

執筆 宇佐見