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IPOへの苦難の道26 ~J-SOXのリスクアサーションとは~

J-SOX/IPO

最近よくJ-SOX業務やっとります。
やっててつくづく思うのは、”なんか明確に決まったルールもないしふわっとした業務だなぁ”です。

特にリスクの判断の部分!
これ完璧に個人の判断によって変わります!

なので、J-SOX業務をやられてる方は自信を持って言ってやってください。

「これが私にとってのリスクだ!」と。

特に僕がよく迷うのは、実在性と網羅性の部分。

あ、ちなみにJ-SOX上は以下の観点からリスクを識別します。

・実在性(本当にあるのか?)
・網羅性(すべて漏れなく把握できてるか?)
・権利と義務の帰属(会社のものか?)
・評価の妥当性(金額はあってるか?)
・期間配分の適切性(計上する時期はあってるか?)
・表示の妥当性(計上してる勘定科目はあってるか?)

これらをリスクアサーションといいます。

売掛金なら実在性の観点を中心に、借入金なら網羅性の観点を中心にリスクを潰せるコントロール(統制)を効かせるわけですね。はい。

J-SOXで業務プロセスの運用状況を評価する際には、例えば毎日やる取引については25件のサンプルを抽出するのが一般的です。

過去に関わった案件で、例えば売掛金について実在性とも網羅性の観点から、各々で25件ずつサンプルをとったことがあります。
実在性の観点からは、母集団を取引先からの注文書として、
網羅性の観点からは、母集団を発行した請求書として、
計50件抽出しました。

…多すぎですね(笑)
これはクライアントの担当者が過去にちょっとJ-SOXをかじってたのもあって、「両方の観点からサンプル取らないとだめなんです!」と言い張ったので、それにあわせて対応しました。

まぁ、個人的には売掛金は実在性が重要視されますが、網羅性も大事じゃね?と思うわけなので納得した上で対応しました。

が!

やっぱり50件は多すぎなのでもう二度とやらない!と思ったわけです。はい。

そんなこんなで最近のJ-SOX業務をやる際に監査法人の担当者に上記の質問をぶつけてみたわけです。

「実在性と網羅性のどっちもの観点から見ないとだめですか?」と。

…なんか明確に答えられないみたいでした(笑)
困らせてしまい申し訳ない。

結論はどっちか重要視する方のリスクアサーションで見ましょうということになりました。

ありがとう25件です。

J-SOX業務は結構その時々の判断によって業務量が激変するので、知らず知らず業務量増やさないように、監査法人と協議しながら進めましょう。

 

執筆 宇佐見